ペダルに極力頼らない演奏

私の先生は、人間性も然ることながら演奏に対してストイックさを求める先生です。ペダルにも極力頼らない演奏を提唱されます。理由は単純なことで、本番で奏でるピアノにおいて必ずしもペダルの状態がいいとは限らないからです。

例え状態が良かったとしても油断は出来ません。練習時にペダルに頼る演奏をしていたと仮定しましょう。そして予め本番に弾くピアノがどんなピアノなのか分からないまま本番を迎えるとしましょう。(リハーサル時間がある場合は)リハーサル時にペダルの状態の違いに気付いて慌ててしまうかも知れません。もしもリハーサルが出来ない場合には状況はもっと残酷です。慌てる気持ちを上手く抑えながら、本番で演奏しなければなりません。ペダルの踏む加減を調節しながら、半ば即興的に本番で弾きこなすことは、大人のアマチュアにとって極めて高い要求でしょう。
従って予め我々は、ペダルに極力頼らない演奏というものを身に付けておく必要があります。勿論決して私は、ペダルを豊富に用いて豊かに旋律を奏でることを否定しているのではありません。その演奏は誰もが望む目標です。ですがその演奏を行う基礎として、ペダルに極力頼らなくても豊かに旋律を奏でられることが前提です。
私が通うお教室のピアノはアップライトピアノで、ペダルが2本です。そして、おさらい会の際に機会があり、弾かせて頂いたグランドピアノはペダルが2本でした。ひょっとすると、「レッスンやおさらい会に3本のペダルでないピアノを奏でるのは、決して本格的でない」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかしそんなことはありません。先述した通り、ストイックさを求められるレッスンを受ける私達です。ですから、ペダルの数が2本であろうが、3本であろうが関係ないのです。
音に拡がりを持たせる(一番右側のペダル)を踏まないで演奏すると、ペダルを踏むよりも驚く程質素であっさりとした演奏になってしまうことに気づくでしょう(余談ですが脇役の伴奏では、過度な音の拡がりは禁物です)。ですがその気付きが大切なのです。もし次にまた「やはりペダルを用いた表現を選ぼう」と思ったとしても、見方は変わっています。別の視点を経た後に奏でられる演奏には、意識付けとしては違った発見もしている上での演奏なのです。きっとその発見は演奏にも表出する筈です。
様々な角度から曲を深く考察することによって作品への理解が深まります。

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